「那維斗…これは…無茶じゃないからね…」



「わかってる。わかってんで…」



那維斗を悲しませた事に、代わりはないんだ。

治ったら、いっぱい謝ろう。

治ったら、いっぱい恩返しをしよう。

私は那維斗から、ずっと黙ってる兄貴を見た。

兄貴はベッド脇に屈み、「手当て…遅れてごめんな…」と、涙を流して謝る。

一瞬にして、みんなが固まった。

どういう意味だろうか。

私は「ん?」と、聞き返す。



「右頬に…直径4センチ位の、傷が残るって…」



「傷、が…」



昔の私なら、気にしなかっただろう。

けど、気掛かりなのは那維斗。