「俺、昔にお父さんが家を出て行ったんだ。俺まだ小さくてよくわかんなかったんだけど、いっぱい泣いたの覚えてる。」 「うん」 「それからお母さんは、俺を親戚の家にやって、金だけよこすようになってさ」 「うん」 「中学後半から、親戚も俺が嫌になって、一人暮らしさせたんだ、俺を」 「……」 「それでも、お母さんは俺を迎えに来てくれなかった。 金だけ渡された。 それでな…」 俺は、スゥーハァーと深呼吸をして、話を続けた。