「美恋は?」 「お腹空いたから何か買いに行くって、あっち行ったよ?」 知那が指を指した方向には、確かに海の家などがあった。 「ちょっと行って来る」 「なんで?」 「またナンパとかされてたら面倒臭いだろ」 空の声にそう答えて俺は再び歩き出す。 「「愛だねぇ」」 そんな声が後ろから聞こえた様な気がしたけれど、俺が振り向くことは無かった。