午後五時四十分。アルバイト先に着いた私は、ロッカーの前で大きなため息をついた。
(やる気が出ない……)
原因はもちろんアミ達と絶交したから。昼食の後講義があったので教室へ行くと、早速無視された。もめた後なのでできるだけ遠くに座ったが、一人ぼっちになったのでさびしかった。
-思わず、『これで本当に良かったのか?』と心配になった。-
残念な事に、ロマンスに確認しようにも家にいなかったし、連絡の仕方がわからない。何度かメールをもらったが、アドレスが書かれていなかった。
(まあ、神様なんだから携帯電話なんか持っていないか。たぶん念力で交信できるんだろうな。ただ、こっちから連絡したい時、不便だよね)
だんだんイライラしてきた。『ついていない』とグチまでこぼした。
「こんばんわ、今日は早いね」
「あっ、灯ちゃん!こんばんわ」
灯も出勤してきた。昼、イヤな事があったにもかかわらず、笑顔だった。私はとてもいやされた。
「なんか、今日は早く来たかったんだ」
「えらーい!私、ついのんびりしちゃうから、いっつもバタバタして家を出てくるんだよね」
「たまたまだよ」
「たまたまでも、早く来ようと思うのってエラいよ」
「……灯ちゃん。ホメるの上手だよね。なんかいっつもいやされる」
「ありがとう!そう言ってもらえると、もっといやしてあげたくなる」
ウフフ、と灯は笑った。
「でも、よかった。元気そうで」
「えっ?」
「お昼、田辺さん達とケンカして学食を飛び出して行ったでしょ?四講目の講義違うの取っていたから、落ち込んでいないか心配していたんだ」
「心配してくれてありがとう。まだ傷はいえていないけど、だいぶん元気になったよ」
「仲直りしたの?」
「ううん」
私はちょっと悲しくなったが、深呼吸して気分を整えた。せっかく気持ちを決めたのに、動揺して変えてしまいそうだったから。
「まだ絶交したままだよ。それに……仲直りする気はない」