ボロボロと泣きながら叫ぶ先輩に俺は小さくため息を付いた。 「またそれか……」 …俺らは、一応経験済みだ。 それは二ヶ月前、俺が先輩の家に招かれて夕飯をご馳走になった日。 食べ終わった俺らは先輩の部屋に行き、雰囲気に流されそのままベッドで…という展開だった。……らしい。 「なのに、なのに憂太が… ――忘れるなんて普通ありえる!?俺らの大事な大事な初ベッドインを!」 「………」 「世界平和よりも大事な初ベッドインを忘れるなんて…!」 「いや、世界平和の方が大事だからね!」