「ウサギさーん☆!フフフ、そんな所に隠れてたって無駄よ?わたしにはわかるんだからネー」



……………ちっ。

毎度毎度、休み時間が入るたびに人の後をつきまわして、隠れても隠れても見つけやがる…。


諦めて俺をウサギと呼ぶ女の前に俺は姿を表した。

「 ウサギさーん。わたしから逃げれるなんて思ってないですヨね~?」



ゾクゾク


意味深なその言葉に俺は背筋が凍りそうになった。

「つうか…ウサギじゃねぇ。宇・佐・美!!
何度言わせるんだよ。」


「…えーだって可愛くないデスよ~」


不敵に笑うその顔が気に食わねぇ。

「おっ、アリス。今日も宇佐美に遊んでもらってんのかー?」
「宇佐美くんもすっかり丸くなったわねー」


「ふふふー。そうなんですよ☆!」

なーにがそうなんですよ☆だ!!。
半ば強制的に!!むしろ拒否権なしに人を追いかけ回してるくせして!!


「俺はお前と遊んでるつもりねーからな!!」

どんなに冷たい言葉を返しても、ニッコニコしてて調子が狂う。



そのツラも気に食わねぇ。


「わたしの顔ジロジロ見てどうしちゃったんですか~?ふふふ。」

「宇佐美~、そんなこといいつつもやっぱりアリスのこと…」


「ばっちげーよ!!そんなんじゃねーよ」




一年の時俺の席の隣には誰も座っていなかった。
席は置いてあるのに誰もこない。
来る日も来る日もこの席の主はこない。


一体どんなやつなんだって思ってた。
学校こないなんて引きこもりかと思ってた。


二年になってまた隣の席になった。
四月…こいつはやってきた。
俺のいなかった隣の席の主。


有栖川 さつき。