「お釣りはいらないから、乃愛ちゃんのチップにして」 長谷川さんはそう言うと、あたしに微笑んだ。 「え…でも……」 「いいからいいから!とっておきな」 長谷川さんは“ね?”とあたしに念を押すように言った。 「は、い…。ありがとうございます」 あたしは戸惑いながらも頷いた。 西野さんは奢ってもらえたことが嬉しいのか、笑っている。 長谷川さんはニコッと微笑むと、西野さんと一緒にバーを出ていった。