――11ヶ月後。




「――ありがとうございました」




あたしは本日最後のお客様を見送り、後片付けに入ろうとしていた。




無事に自分のお店を出し、あたしは充実した日々を送っていた。




……けど…




やっぱり心にポッカリ穴が開いているのは…優人さんがいないから。




愛する人が……傍にいないから。



「……あと…1ヶ月かぁ…」




あたしはカウンターテーブルを拭きながら呟いた。




優人さんがパリに行ってしまってからの11ヶ月間。




あたしは必死に仕事をした。




1日でも早く自分のお店を持ちたくて、必死に頑張った。




優人さんも頑張っているんだから、あたしも頑張りたい。




単純にそう思った。