「……乃愛ちゃん…」
長谷川さんはそう言うと、あたしの背中に腕を回し、優しく抱き締めてくれた。
フワッと香る長谷川さんの優しい匂い。
背中と腰に回った長谷川さんの腕から熱い体温が伝わってくる。
「は、長谷川さ…」
「……嘘じゃないよな?」
「え?」
「乃愛ちゃんが俺を好きだってこと。嘘じゃないよな?」
長谷川さんは抱き締める腕にグッと力を込めた。
あたしは長谷川さんの腕の中でコクリと頷いた。
「初めて長谷川さんがバーに来て下さった時から…ずっとずっと、憧れてました…」
あたしはゆっくり腕の中から顔を上げると、長谷川さんを見つめた。
「そうだったんだ…。実は俺もだよ」
「えっ?長谷川さんも!?」
あたしはびっくりして目をパチパチさせた。

