栞は、しばらく面白そうにカップの中のマーブル模様を眺めていたが、飽きてきたのかスプーンで軽くかき混ぜていた。 「…ほんと、良い天気。」 スプーンを置いて、一つ深呼吸をしている彼女の顔が銀色に映る。 それを見ていた僕に 「幸斗、どうしたの?」 と声をかけてくる彼女の顔を僕は見れなかった。特に気にしたフリもせず、足りないと、またミルクを注いで、くるくると回すスプーンを栞に重ね合わせてみた。 (ミルクが僕だとしたら) (君は銀のスプーンだ) (君が僕の心を、かき混ぜる)