致死量カカオ


なんだかいまいち状況把握がついて行かないけれど……え?これ本当に一緒に帰るんだろうか……。


っていうかなんで教室の前で待ってるわけ?戻ってくるの知ってたみたいに待ち伏せ?何で?


……保健室ってことも知ってたし。


首をかしげながら自分の制服を手に取ると、タイミングを見計らったようにスカートのポケットに入れていた携帯電話が震えた。


『彼氏と仲良く帰れよ』


……昭平の仕業か……。

昭平からのメールを見て二人が手をつないでにこやかに手を振る光景が思い浮かぶ。

そんなに私は邪魔か。

ってことは二人はそのまま校門で私を待たずに帰ったってことか……。


彼氏と?仲良く?帰る?

何この一文の中にある三つの殺傷能力の高い文字!


ぐらぐらっと視界が一瞬回転して机にがっしりとしがみついて何とか体制を持ち直したものの……。


マジで二人で帰るんですか!?
マジで死ぬかもしれないんですけど!
マジで殺すつもりかあいつら!


「やばい……すでに吐き気が……」


無事に家にたどり着ける自信がない……下手すれば死。よくても高城にリバースを再びお見舞いしてしまうかもしれない。


もしくはこの軽い腹痛から下痢……なんてことになったらそれこそ死んだ方がマシかもしれない……。