致死量カカオ




ああ、痛い。鼻が潰されたんじゃないだろうか。

真っ暗な視界の中で一番最初に顔面の痛みを感じてから違和感を抱いて瞼を開いた。

その先にはもう二日目にして見慣れた天井が私をあざ笑うかのように見下ろしていた。

ああ、また君の部屋ですか。


「あ、起きた起きた」


千恵子の声が耳に届いて顔だけを横に向けると、すでに制服に着替えた千恵子と昭平の姿。


えーっと、とりあえずなんでまた私はここ、保健室にいるのだろう。しかも顔面の激痛を伴って。


「お前がわるいんだぞーあんな運動場のど真ん中にいるから……」

「ほら、昭平!ちゃんと謝って」


……いまいち現状を理解できないんですけど?

首をかしげる私に昭平が「お前、俺の蹴ったサッカーボール顔面で受け止めたんだよ」と解説を入れた。

ああ、なるほど。だからこの激痛か。


「まー悪かったな!お前も悪いけどな!」

「……昭平土下座して……」


とりあえず謝られてる気はしないから、見た目だけでも誠意を伝えて欲しいんですけどいいですか。

あとその笑顔をやめてください。


「んだよー謝ってるのに」

「謝ってる態度じゃないでしょー!これ以上ぶさいくになったらどうするのよー!」


まだ鼻が痛いんですけど。


絶対つぶれた、ブタっ鼻になったに違いない。ショック!