致死量カカオ


「一人で告白しに行ったと思ったら突然理系の男の子が教室にやってくるんだもんびっくりしたんだよ?」


ふわふわの髪の毛を揺らして茶色の瞳が私を捕らえる。


ああ、かわいいな。

憎たらしいくらいにお似合いの二人。しかも両思いでキスしたり抱き合ったり好き放題出来る二人。

私もしたいのに。


「……付き合う?って言われた」

「嘘つくなよお前」


嘘ついてないし!

すかさずあきれ顔で私に突っ込む昭平をぎろっと睨み付けると「マジで?」と小さく呟いた。


マジですけど。

なんでそんなに驚くんだよ。私だって女の子なんだから傷付くんですけど。


「連敗にストップかかったのか」

「あんたホント、マジで死ね」

「口が悪いと彼氏に振られるぞ?」


昭平の言葉に一瞬心が喜ぶ。
いや、喜んじゃいけないんだけど!


「彼氏じゃないし」

「だよなああ」


ほんと殴ろうかなあ。憎たらしいなあ。

手元でぐっと拳を作ると昭平はへらっと笑った。まるで冗談だろと言わんばかりに。


冗談だろうと何だろうとどうでもいいので殴っていいですか。