致死量カカオ


振り返って昭平を睨み付けると、昭平は相変わらず私を見下したように笑うだけで、背後で千恵子がおろおろしながら、私と昭平を交互に見つめる。


何て千恵子みたいにふわふわの可愛い親友が、こんな性格の悪い昭平と付き合ってるのか。


気に入らない。


何が気に入らないって目の前でいちゃこらするこの二人が気に入らない。


「で?上手いこといったのか?」


なんだかんだ私のことを心配する昭平の言葉に、「……わかんない」とだけ小さく答える。


「なにそれ」


昭平の茶色い髪の毛が私の視界に入ってきたことで、視線を落とした私を覗き込んでいるのだと、視線だけを上に向けた。


相変わらず昭平は男前だな。

どうでも良いことを思ってからため息をつく。

かっこいいだけで惚れるほどバカじゃないけど。


幼い頃から傍に居た昭平は兄弟みたいなものなんだから恋に発展するはずもない。したくもない。

四六時中バカにされるのが目に見えてるし。



「どうしたの?」


千恵子が昭平の背後から顔だけを出して私の様子をうかがった。