致死量カカオ


俺の名前を呼ぶと同時に、俺に指を向ける裕子に眉間に皺が寄る。言いたいことがあるならはっきり言えよ。


「高城があんな風に声を掛けるなんて、ねえ」

「マジでびびったよな。豊美ちゃんだっけ?彼女の汚さにもびびったけど」

「うっせえな」


自分でも分かってる。

俺が俺らしくないことをしていることくらい分かってる。

自分でだって何でなのか分からないくらいに。


「豊海と付き合うつもり?」


宮木達の言葉に返事するのも面倒に感じてそっぽを向く俺に、昭平の声が届いてゆっくりと振り返った。


「……とりあえずそのつもりだけど?」


別にあの女に執着する理由は何もないけど。


だけどこのままだったら意味わからなさすぎて俺の頭がパンクしそうだ。


変に気になるのも気持ち悪いし。

そのために「付き合う」なんて関係はいらないかもしれないけど。

俺は振ってないしあいつも振って、しか言わないし。とりあえずはそうなるんじゃね?


「じゃあ、ちゃんと話しておかないとだなあ」


ふーん、という言葉を頭に付けてから昭平は独り言のように呟いた。