致死量カカオ




「私の青春返せーー!!」

「うるさい」


叫んだ瞬間にぽこっと頭に痛みを感じて顔を上げる。

目の前には昭平(しょうへい)と千恵子(ちえこ)のペアが、ちなみに昭平は呆れながら、千恵子は苦笑を漏らしながら座っていた。


「ここどこ」

「保健室だよ」


頭をさすりながら周りを見渡すとカーテンで仕切られている。隣の窓を見れば運動場がすぐ傍にあった。


保健室なのは分かったけれども……。

なんでこんなところにいるんだっけ?

首を傾げて二人の方に視線を戻すと、昭平がパンパンと手元で丸めたノートを叩く。


ああ、そのノートで叩いたのか。何て奴だ。幼なじみでもあると同時に隣にいる千恵子の大事な親友である私を殴るなんて。


「豊海、高城に告白したのは覚えてる?」


心配そうに覗き込む千恵子の言葉に一瞬考えてから「ああ、うん」と答えた。


そうだ。私は高城に告白したんだ。

このままじゃ死にそうだから死にそうになりながら。


「お前その場で倒れてやんの。バカじゃねえの?」

「昭平に私の気持ちが分かってたまるかバカ」


昭平のバカにした態度にふんっと突っぱねてみると、昭平は「分かりたくもない、そんな不便なもの」とより一層バカにした。

畜生。