千恵子が言葉を濁した理由も私にのし掛かるみたいだ。はいはいすいませんね。凡人がすいませんね。
っていうか。
「やっぱり付き合ってるの?」
「しらねえよ。こんなに噂になってるんだから世間的にはそう言う事になってるんじゃねえ?」
まじか。それはまずい。まずいけど美味しい。
格好いい人の彼女なんて言う肩書きはこの先一生私には与えられないものだと思っていた。
「あの子が彼女?信じられない」
やばい!すごいこの威力!
動悸息切れが悪化してぜーぜー言いながら、ドアにいる女の子達の言葉に耳を澄ます。
昭平や千恵子に言われるよりも赤の他人に「高城の彼女」だと言われるこの威力。
嬉しさと比例していつものごとく死にそうだ。
こんな奇跡二度とないから今のうちに味わいたいのにそろそろお迎えが来るかも知れない。
「豊海褒められてないのにそんなになるってある意味すげえポジティブだよなあ」
昭平の言葉は耳に入ってくるけれど文句を返すほどの元気もない。
生死を彷徨ってる状態でバカにされるくらいは大したことじゃない。
っていうか。
「だめだこれ、だめマジで死ぬ」
チャイムが鳴ったと同時に去っていく女の子達の後ろ姿を見つめながら自分の胸を服の上から握りしめた。
思いの外に「彼女」効果がすごい。



