すげえ自慢になると思わないか?

そこまで愛されるやつ、なかなかいねえだろ?


にっと笑って見せると豊海は一気に涙目になって、そのまま地面にへたり込んだ。


「……高城、変だよ……」

「お前に言われたくないけどな……」


それはマジで思うんだけど。

お前よりかはまだマシだと思いたい。


「ほら、帰るぞ」


手を差し出すと、豊海はゴクリとのどを鳴らしてからためらいがちに手を取って立ち上がった。


「なるべく……死なないように頑張ります……」

「おう頑張れ。俺も殺さないように頑張る、かも」

「かもって……」


あんまり目を見て話したらまた豊海は倒れるかもしれないから、目を見ないまま前を向いて、そして手をつないで駅を目指す。


すっげえめんどくさい恋愛かもしれないけど。


だけどまあ、楽しいかもしれない。
踏み出すのはさすがに躊躇したけど。



でも、ここまで愛せる勇気があるやつなんか、きっといないだろ?