致死量カカオ


「だけど喧嘩して、ご飯が喉を通らなくなったとかなら、あるかな?

あと、豊海に嫉妬だってしたことあるよ?」

「……は!?」

私に!?
急に私の名前が出て来て目が見開いた。

私の名前が出て来たこともそうだし、何よりも私に嫉妬なんてする人がこの世に存在したなんて。


「昭平と、やっぱり仲良いじゃない。切っても切れない絆みたいな。家族みたいなんだろうなってもう今は思ってるけど。

だけどことあるごとに豊海の心配をする昭平にむかむかしたときとかも、前はあったかな?」


ふふっと可愛く微笑んで、「昭平には言ってないけどね」と口の前に人差し指を当てた。

そんな希有なひともいるんだ……まあ、確かに昭平と私に恋愛感情は1ミクロもないけれど。

だけど近い存在であることには違いない。


すうーっと体から力が抜けてへろへろと机にべったりと上半身を乗せた。


いや、わかっている。

昭平も千恵子も私とは違う。死ぬ訳じゃないし。

だけどだからって何もかも違うこともない。

同じように嫉妬して、やめたくなったりする。やめる人もいるかもしれない。

嫉妬で心をぐっちゃぐちゃにして乱れて彼を束縛して仕舞う人だっているかもしれない。

死なないけれど……だけどどこか一緒だ。


私が今嫉妬で逃げ出したいと想っている気持ちと。私は死ぬから、だから嫌。死なないけれど嫉妬そのものが嫌で逃げる人だって居る。


別に何かが変わったとか答えが出たなんてことはないけれど、だけどほんの少しだけ心が軽くなった。

それでもすくんでいる心は、一体いつ、何処に向かって、どんな結論を抱いて突き進むんだろう。