「ぎゅうって、強引に握って、抱くとかいって抱いてくれる?とか言って笑って、そんなことしてすぐ新しい彼女ができるんじゃない!」

「…………」


いや、まあそうだけどなんかこんなところで叫ばれても。

話の前後もあるから抱くとかそんなところだけ抜き取ったら違う意味になりかねないだろ。


「いや、まあとりあえず俺は付き合ってないし」

「別に私だって誰を好きになったっていいでしょ。気分悪くなって目の前で吐かれるよりも高城だっていいでしょ!

誰の前で吐いても、誰の前で死んだって、高城には迷惑かからないじゃない」



「――そんなもん……!だったら――……」


あまりにも豊海が叫ぶから。
勝手なことを叫ぶから。

思わず口から出てしまいそうな言葉をゴクリと飲み込んだ。


ぎゅっと拳を握って、口を閉ざして豊海から視線をそらした。

駄目だ、これ以上話をしたら言ってしまう。
俺の自分勝手な思いを。

最低の思いを。