致死量カカオ


背後で聞こえる宮木の「ひゅうー」という口笛が余計にハズカシイ。怒る気力もないくらい。

こういうこと言うの初めてだし。こういうこと言うのがこんなに恥ずかしいことだと思わなかった。

今まで何度も言ってきたと思うんだけど。


「じゃあ、答えは出てるんだろ?話すりゃあいいじゃねえか」

「……だから」


そんなに簡単な話でもないんだって。
宮木のように単純だったらさぞ楽だろうな。


でも言っている意味も分かる。
結局二人のことなのに……一人で考えているからわけわかんなくなってくるのかもしれない。

俺が1人で出した答えと、豊海の答えも違うかも知れない。結果は一緒でも、だけど豊海が考えていることを知りたいと思う。

それこそ話をしないといけないのか。


だけど何をどう話せばいいのかわからない。……そんなこと考えたってこの状況では答えなんか出ないんだろうな。



そう思うとため息が零れた。


お昼休みにでも、掴まえてみようか。出来るかわかんねえけど……。しないことには何にもならなくて前より豊海のことが頭の中を占領してるだけだ。


……と思ってきてみたはいいけど。


というか行こうとした途中で足を止める羽目になったわけなんだけど……。