致死量カカオ


彼女に喜んで貰おうとか泣かない様にしようと思うことはあったけど……豊海の場合は俺が一緒にいたら楽しいから、だから一緒にいたいだけなんだ。


今までだったら、彼女のしたいことをさせてやればいいと思っていた。それが彼女に対しての振る舞いだと何でか思っていただろうし。


だけど豊海にはしたくない。

逆にしないことで怒るかもしれないと思うとそれも良いと思う。

喜ぶことをすれば目に見えて喜ぶだろうけれど、それも結局それが見たいっていう俺の為だ。


なんでとか、だからとか理由が見当たらないけどただ、そうしたいと思う。


可愛いと思うと気もある。
多分不細工な顔したって俺はあいつの顔を見て笑うだろう。


そんなにあいつのことを知っている訳じゃないのになあ。


知るとか知らないとかっていうこともよく分からなくなってきた。


「多分あいつはどんな俺でも好きでいてくれるんじゃねえかなーって思うんだけど」

「なにそれ?のろけ?振られたのに?」

「うっせーよ。あいつが別れたのは体のせいだよ!」


沢田の言葉に思わずむっとして反論すると、思った通りだったのかケラケラと沢田と宮木は笑って「だけど、何?」とつけ加えた。


「だけど。

……俺もどんなあいつでも一緒にいて飽きないんじゃないかと思う」


口に出したら恥ずかしくなってきた……。なんだこれ。