致死量カカオ


俺の言葉に二人は困った顔で見つめ合う。

多分、俺らの話は聞いているんだろう。どう話しているのか知らないし、それを俺が聞くのもおかしいからいいけど。

そんなことよりも今、とりあえず俺は豊海に会いたいんだ。


「……教えてもいいんだけど、とりあえず今日はちょっと、まずいかな?」

「なんで?」


昭平の顔を見ると、俺が豊海に会うこと自体はいいのか、携帯電話を取り出すものの、今日は、という言葉にひっかかる。


「んー……」

「んだよ、歯切れ悪いな」

いつもひょうひょうとして話す癖に。


「まあねーそりゃ、豊海が他の男の子と一緒に帰ってるとか言いにくいでしょ?」

「……昭平」


慌てた様子で千恵子がとなりで言葉を発すると、昭平はわざとらしく口を両手で覆った。

お前絶対分かってて言っただろ。


「どういうこと?」


そしてお前は何がしたいだ。

沸き上がる怒りとかなんか苛立ちを堪えて昭平を睨むと、昭平は肩をすくめた。

何で急に他の男が出てくるわけ?なんなんだよ。そいつが好きになったとかそういうことか?

別れて直ぐに付き合うのを繰り返してきた俺の言える立場じゃないけど。