致死量カカオ


「で?付き合うの?」


俺の呼ばれた理由を分かっていたんだろう、俺の席の廻りに集まっていた宮木と沢田がわくわくしたような顔で、ドアを開けただけの俺を見つめて聞いてきた。

何がそんなに楽しいんだ。


「つきあわねえよ」

「やっぱりー!」


俺の返事に沢田が宮木に「ほらほら」と勝ち誇った様な顔を見せる。

……お前ら賭けてたな……。


「えーなんでだよーお前今までならあんな可愛い子の告白なら付き合ってたじゃねえかよー!」

「うっせえなー俺の好きにさせろよ」


邪魔な二人を押しのけるようにして自分の席に腰を下ろす。朝からなんだか疲れた……。

はあっとため息を漏らして机に頭をのせると、チョコレートの匂いが鼻に届く。


「チョコくってんの?」

「ん、いる?」


宮木がポケットから板チョコを取り出して、丁度一列分をパキッと割って俺に差し出した。

受け取って口の中に放り込めば一気に広がるチョコレートの甘さと香り。

こんな美味しい物食べられないなんてかわいそうな奴だな、豊海は。


まあ別に、食べられないからって死ぬわけでもないけど。だけど食べた方がいい。それこそ恋愛みたいだ。