「お前俺のこと本気でおちょくってんの?」


必死になって俺の傍にいたのはお前じゃないか。

死にそうになってまで俺に告白してきてバカみたいに鼻血流しながらもにやけていたのだってお前じゃないか。

手を繋いでふらふらになったのは俺だからじゃないのか?


なんでそれでやめたいんだよ。
そんな程度だったのかと思うと腹が立つ。


俺の言葉に豊海は何も言わずにただ背を向けたまましゃがみ込んだまま、じっとしていた。


「豊海?」


余りにも動かない豊海に、違和感を感じておそるおそる手を伸ばす。

……さっきまで震えてたのに何かあったのか?そう思えるほどに豊海は動かなかった。


「……豊海?」


大丈夫だろうかと肩に手を置いたと同時に……。


ぐらりと、まるで人形のように傾いた。


「豊海!?」


豊海は体全身から汗を拭きだして、そして顔や手、見える肌の全てが赤く、蕁麻疹を起こしている。


「おい!豊海!?」


豊海の体を支えながら名前を呼んでも、豊海はぴくりとも反応しなかった。