「……う」


顔面蒼白で、口を手でばっと押さえ込むとそのまま道の端に駆け寄ってしゃがんだ。


「……おい、大丈夫か?」


俺の言葉に返事をする気力もないのか、豊海はひたすら口と鼻からまるで体の中にある毒を取り覗こうとするかのように吐き続ける。


……以前目の前で吐かれたけど、それよりもよっぽど死にそうに見えた。


必死に吐き続ける豊海をどうすることも出来なくて、とりあえず傍で立ち尽くす。

通りすがる学生達はさっき以上に何があったのかと聞きたそうな視線と、たまに何に対してなのか分からない笑みを零していた。

クスクスと疳に障るような。
……気持ちは分からないでもないけど、この立場になると放っておけと言いたくなるな。


「……私を捨てて下さい」


またわけわからんことを。
鼻声の豊海の言葉に何も返事をしないでいると、豊海はげふげふと咳き込んでから再び口にした。


「やめたいんです」

「は?」


俯いたまま告げた豊海の言葉に、一気に眉間に皺が寄った。自分で顔のカタチ変わったんじゃないかなーってくらい。


そのくらい。
豊海の発言に対して不快感だ。