何やってるんだろうと思う気持ちもない訳じゃないけど今はさすがにそれどころでもない。
「――ちょ、……ま、て」
「ひぎゃああああぁぁぁぁ」
叫ぶなバカ!
俺が襲ってるみたいだろうが!
目の前にまで近づいた豊海に声を掛けると振り返った豊海が涙を流したまま俺を見てそれはもう怪物を見るかのような顔をしてから叫んだ。
「――おいって!」
手を伸ばして豊海の肩をがしっと掴む。
「やあああだあああああ」
「やだじゃねえよ!」
それでも走り続けようとする豊海の腕をしっかりと掴んで脚を止めると、豊海もふらふらと体力の限界が来たのか脚を止めた。
体力限界じゃなくても、まだ逃げたって、追いかけるけどな。逃がすか。
ぜーぜーと二人で肩を上下に揺らしながら道ばたで脚を止める。
さすがにこんなに全力疾走したのは久々で疲れたけどな……こいつもよくもまあここまで逃げようと思ったよな。
「な、何が、したいんだ、お前は……」
手をがっしりと掴んだまま乱れた呼吸で豊海に問うと、豊海は何も言わずにゼーゼーと呼吸の音を口から零すだけ。
「――吐く……」
「は!?」
あきれ顔で言葉を待っていると、豊海の口から出て来た言葉に一瞬何を吐くのかわからなかった。



