俺が悪者になったような、触れるのも嫌なような汚い者になったような気がして差し出した手をそのままぐっと握りしめた。
そんなの、ただの被害妄想だってことくらい、わかっているけど――。
「……倒れるなよ」
余計なことを言わないように、喉から絞り出した言葉はいつもよりも低く籠もっていた様に思う。
その声により一層泣きそうな顔になる豊海に気付いていたけれど、敢えて見ないようにすぐさま背を向けた。
宮木の言葉を思い出す。
触れないのは辛い。……好きだから。だけどそれ以上に。
手を差し出すことすら出来ないほうが痛い。
「やっぱり、無理、だよ、ね」
「……あ?」
背中からか細い声が届いて意味が分からずに振り返ると、泣きそうだった顔は既に泣いていて、鼻水までも隠すことなく流す豊海がいた。
「な、なに?」
何で急に泣くわけ?そんなにしんどいのかよ。
え?なんでなんでなんで?
靴箱で泣き出した豊海に、通りすがる生徒達がじろじろと俺と豊海を交互に見つめてくる。
端から見たらどう見たって俺が泣かしたみたいじゃねえか!
いや、元をたどれば俺が泣かしたのかもしれないけど。いやだけどなんなんだよ急に。



