致死量カカオ


「……どうした?」

そのまま豊海の靴箱に向かうと、豊海は靴箱に手をかけたまま止まっていた。

なにやら黒いオーラを身にまといながら。

……何があったんだ今度は。さっきとまた違った意味で意識飛んでないか?


「……豊海?」


俺の二度目の呼びかけにはっとして顔を上げた豊海は、今にも倒れそうなほど顔色が悪い。

そのまま倒れそうなほど体中から力が感じられなくて、眉はずっと下がったまま。


さっきの豊海とはまるで別人かと思う程。


「……あ、いや……」


俺の視線から逃げるように顔を隠して豊海は靴を履き替えたけど、見ているとずっとふらついていて今にも倒れそうだ。


「おい、大丈夫か?」


このままバタンと頭から地面に落ちそうな豊海に、何気なく手を伸ばすと……。


「――……!」


そんなに、あからさまに嫌がらなくても。
そう言いたくなるほど豊海が目を見開いて体をびくつかせた。


……触ったらいけねえことくらいは分かってるけど。だけどそんなの一応さっきだって手を握っていたのに。

なんで急にそんなあからさまな態度をとるわけ?