致死量カカオ


「お前がHR出なかっただけだろ。HR終わってすぐ出て来たらお前がいたんだよ。

っていうか豊海ちゃん捕まった?」

「まあ、なんとか」


靴箱から靴をポイッと取り出して地面に投げつける。そのまま学校のスリッパから履き替える。

さっさと行かねえとこいつらもバス停まで一緒だからな……。あーすっげめんどくせー。

この学校の生徒の半分以上はみんなバス停に向かうんだけど。


「でもお前よく付き合えるよなー」

「……何が」


宮木が珍しく感心した素振りで話し始めて動きを止めると、沢田も苦笑いをしながら「まあなあ」と付け足した。

「だから何が」

「だって、豊海ちゃんと付き合っても何もできねえじゃん。好かれてるのは嬉しいけど、だからって付き合えないだろ、普通。

死ぬかも知れねえのに」


ああ、そういうこと。


「まあ、なー」


まあそんなのはじめっから分かってるから別にいいんだけど、今となっては。

いまいち死ぬって言われてもピンとこないのもあるかな。


死にそうにはなってるけど。


「俺だったら絶対無理。好きな女に触れられないとか。好きなのに死ぬとかなったら無理無理。付き合えねえ。

どう転んだって苦しいじゃん」

「んー」


まあそう考えればそうだよなあ。

そう思いつつも宮木の言葉に気のない返事を返すことしか出来なかった。