致死量カカオ


自信は一気に粉々にされて、しゅんっと肩を落とすと、そんなことは気にしないように高城は話し続ける。ちなみにこうやって話してますけど徐々に高城のシャツは血に染まってます。

そろそろシャツでは間に合わないかもしれない。
白いシャツも赤く染まるかもしれない。抑えている手が若干ぬるっとしてきた気がする。

失血死したらどうしようか。
目に見えない分いつもよりも耐えているけど。


「勉強教えるのはいいけど、俺そこまで頭良くねえよ?」


……一緒にお勉強フラグ!?
まさか本気だとは思わなくて鼻からの血が一気に勢いを増した気がする。

一緒にお勉強ってことは……私の部屋か高城の部屋で二人っきりで……それこそ両親が「お茶」「お菓子」ってこまめに心配して部屋にのぞきに来て、そのたびに高城が怒ったりして。

そっと手が触れちゃって「あ……」とかなって?そのまま目の前に高城の顔が……。


やばい、以前よりも高城を知ってしまった手前、想像もリアリティを増して死亡率もぐっと上がった……。


心臓がばっくんばっくん体ごと食べ尽くしそうな音を響かせて、呼吸が出来ない……。

でも勉強とか勉強とか。
勉強出来そうにないし、勉強して頭良くなる前に葬式の準備した方がよさそうなんですけど!

頭良くなってテストで100点とることよりも部屋を血の海にする自信の方がある!

あ、ちょっとリバースしかけた。
しかけたけど口もシャツで覆っていたからセーフ。


「……おい、大丈夫かお前。目の焦点あってねえぞ?何処でスイッチ入ったんだよ」


脚を止めてふらつく私に、一歩先にいた高城が立ち止まって振り返った。