「冗談だよ。鼻血垂らすな。あと意識も飛ばすなよ。
俺もうお前家まで運ぶとかごめんだよ。あ、血飲むなよ?」
鼻血という単語で一瞬でちょっとだけ冷静になった。
まだ心臓ばくばくしてるけど。鼻を閉じられたせいで口で息をしていると口から血が出そうなんですけど。
「あの……シャツ、もっかいアイロンを……」
もごもごと鼻をつままれたまま口にすると、高城が「ああ」と小さく呟いた。
空を見ているから、いま高城がどんな表情をしているのか分からないけれど……。
――嫌わないで。
そんなことを言いたくなる。
こんなにもバカでみっともなくて汚い姿をさらしているのにそんなことを思ってしまうなんて。
図々しいにも程がある。
そして何よりも欲深い自分を思い知らされる。
少し前まで……いっそ振ってと嫌ってと、そう思っていたのに。
「はい」
ぱっと高城の手が私の鼻から離されて、と同時に顔に覆われる白い物。
「それで抑えてろ」
「……こ、これ……」
思わず目の前にある白い布で顔を覆って鼻を押さえるけれど……目の前のこれは……。
どう見てもシャツなんですけど。



