致死量カカオ


「せんせーなんで豊海のこと知ってんの」


授業が終わって豊海の成績がそんなにも悪いのかと気になって先生の元にちょっと近づいて声をかけると「丁度良かった、これ運べ」と資料をぽんっと両手に乗せられた……。

……しくじった。

ちっと舌打ちをしていまさら断れずに先生の後ろを歩く。

職員室結構遠いから嫌いなんだよなあ。科学資料室ならいいけど。

「で?なんだっけ?」

「豊海の話だよ。北島だっけ?」

「ああ、北島は職員室で人気者だからなー」


だからその理由を聞いてるんだけど?

おっさんもうぼけてんのかよ、という言葉が出掛かってさすがに飲み込んだ。


「北島は、どの先生も頭を悩ますほどの成績だからなー。かろうじて進級できてるのは友達のおかげだろうな。

補習してもしてもなにも理解できないんだから。授業中も何を考えているのかまったく聞いてないときもあるし不思議だなーって先生たちも感心してるんだよ。

一見普通の生徒なんだけど。なんか目立つなんだよなあ」


まあ、何考えているかわからないって言うのは人類共通して豊海に感じることなんだろうな。


先生の言葉に「あ、そう」と呆れ気味に返すと「お前が北島選ぶとは意外だったけどなー」とけらけらと笑った。

選んだわけじゃないけど……。
苦笑を返すしかないっていう。