科学の教師といえばまあそれなりに普通コースでも授業があるから名前は知っているんだろうけど。
「お前、とりあえず北島に勉強教えてやれ。中身すっからかんに近いから教えがいがあるかもよ?」
「それ完全に手に終えないから俺に押し付けてんじゃねえか……」
まあな、といって先生はまたテストを返すために次の奴の名前を呼んだ。
「豊海ちゃんってそんなに人気なの?」
「知るわけねえじゃん。俺一昨日まで知らなかったのに」
席に戻る途中、宮木の隣を通り過ぎると宮木も疑問に思ったのか俺に声を掛ける。
俺も宮木も、多分理系コースの誰も豊海のことなんか知らなかっただろうと思う。
付き合ったという話になったときも「何であんな普通の女の子なんだ」と突っ込まれるくらいだし。
それはまあ俺が今まで付き合ってきた女との差も大きいからだと思うけど。
何でそんなに教師の間で名前が知れているんだよ。しかも俺にまで声かけるほど何してるんだ。
っていうか中身すっからかんって。
教師が言う台詞じゃねえだろ。どんなけすっからかんなんだ。
ふ、と自然に笑みを零しながら自分の席に再びついて腰を下ろした。



