致死量カカオ




昨日はたまたま移動教室で普通コースの校舎を通ったから豊海会ったけど、そういうものがなかったらまったくあわないもんだな。

四限目が始まるってふと思った。

まあ、普通コースの奴らと顔をあわせないのなんか今日に始まったことじゃないけど。

しかも普通コースの女と付き合うことだって初めてでもないのに。

なんで豊海のことなんか思い出すんだろう。

そんなにも強烈な印象を俺に残しているんだろうな……。今まで誰と付き合ったってこんなどうでもいいときに思い出すことなんかなかった気がする。


「――高城、おい、高城」

「え?あ、はい?」

そうとう知らぬ間にぼけっとしていたのか、先生に呼ばれて顔を上げると、先生が再び「おーい」と軽い口調で俺を呼んだ。


「小テスト。取りに来い」

「ああ、はいはいすいません」


どのくらい呼ばれていたのかと思うほど、回りのクラスメイトがくすくすと笑いをこぼしていた。

……そんなにぼけーっとしてたかな。

へらっと笑って席を立ってテストをひらひらと振って俺を呼ぶ先生の元に向かった。


「ほら」

「どーもー」