「ほら、立てよ」
ああ、やっぱり好きだこの人。
私の腕を掴んで、微笑みながら優しく立たせてくれる力を感じて改めて思った。
好きだ。なんかわかんないけどやっぱり好きだ。
触れられた腕から全身に甘ったるい、それこそ普段食べられないチョコレートを、たった一粒だけど口の中に放り込んだ時みたいな、特別な甘さが広がる感じ。
「そんなに俺の何処が好きなの?」
やっぱこの人私の頭の中のぞけるんじゃないかな。
「顔」
「……あっそ」
「顔と、目と、口と、唇と、眉毛と八重歯と髪型と手と――……笑顔」
「……見かけだけじゃねえか」
見かけだけだけど。
だけど中身があるから、外が見えるんじゃないかなって、生まれて初めて思ってる。
「全部」
「すげえ、台詞」
そう吹き出した様に笑って言いながら、高城は小さな声で「中身知っても言えるのかよ」と付け足した。
わかんないけど、だけど多分、いや絶対。
中身知ったら嬉しいだけで、むしろ好きになるよ。
私が目覚めるまで保健室で待っててくれたり。
今、私と一緒に帰ってくれてたり。こんな変な体質に変な妄想だらけの私とちゃんと向き合って話をしてくれてたり。
私のめちゃめちゃな告白にだって微笑んでくれている、この人が、好きだ。
そういう所を知れた今、さっきよりも好きになってる。
――そう、それこそ。
死ぬくらい。



