嫌なんかじゃないです。
嫌なはずがない。だって好きなのに。
だけど好きになればなるほど笑えないのも事実だ。こんな女と付き合うことがどれほどめんどくさいかってことくらいバカな私にだって分かる。
「話聞いてんの?お前」
前を向いていた高城が急に私の方に振り返って私を軽く見下ろす。
ほら、これだけで胸がぎゅううううってなるんだから。
見つめられるだけで信じられなくて泣きそうになるし、お腹だって痛くなるし、気を抜いたら多分胃になにも入ってなくったって吐きそうだ。
「おい」
ぎゅうっと唇を噛む私を覗き込む高城の目に、私の顔が映りこむ。
あ、体が震えてきた。
あ、やばい。体中にざわざわざわと音を出すようにして鳥肌が立っていくのが分かる。
「……ダメ!無理!見ないで!」
肩に掛けてあった鞄を両手で抱きかかえて顔を埋めて視界を真っ黒にした。
じゃないと、今を今として受け止めてしまいそう。
これは夢だと言い聞かせないと立ってられない。
これ以上高城の視界に入っているのが自分なんだと思い知らされると信じられない今の幸せな状況に――……。
吐く。
マジで。
あ、ちょっと口の中酸っぱい。



