致死量カカオ


とりあえず教室からは出たものの……先を歩く高城の姿を見てどうしたらいいのかわからなくなった。


一緒に帰れるなんて夢みたいだ。

だけどこれが最後になるのかもしれないと思うとどうしたらいいのかわからない。


……だけど人間って言うのは、とくに私という生物は。


我慢が苦手な性格で。

目の前にこんなチャンスが落ちているのに拾わないわけにもいかないんだ。


これで後々また同じような失態をしでかしてしまうかもしれない、なんてことは安易に想像がつくのに。


それでも。


「……なんでそんな離れてんの」


……それでも、まあ隣に並ぶとなるとそれはまた別問題でして。


高城から二メートルほど後ろを歩く私に、さすがに高城も振り返って私に尋ねた。

いや、でもいろんな意味で隣を歩くなんてできないです。


精神的なもの(やだ!好きな人の隣を歩くなんて恥ずかしい緊張しちゃう!)と肉体的なもの(緊張とときめきでお腹が軽くゴロゴロ言い出した)。


この二つの理由によりちょっとさすがに……これ以上は。


振り返った高城が私を見ているのかと思うだけで、お腹がぎゅうっと痛くなるんですけど……。

好きな人の隣でさすがにその失態だけは遠慮したい。


「そんなに離れたら声も聞こえねえだろ。

俺の顔見るのが嫌なら地面でも見てろ。とりあえず隣歩け」

「そんなこと言われても……」


そんな簡単な方法でどうにかなるくらいなら今までどうにかしてるし。