致死量カカオ


「だ、大丈夫なの?それ」

昭平との間に流れる空気を気にしないで千恵子がより一層私達の間に割り込んで私の顔を見る。


大丈夫なのかどうか。

そんなの私が知りたいくらいだ。


大丈夫にしなきゃいけないのは私なのに、それが出来そうにない状況に追い込まれてしまったのだから。


「何の為に告白したのかわかんないや」


ぼそっと呟いた言葉は、ふわりと浮いて消えた。

残ったのは静寂だけ。


さっきまで茶化していた昭平も口を接ぐんで何も言葉を発することはなかった。


振られるために告白したのになんでこんな嬉しくて辛い結果を知らなくちゃいけなかったんだろう。


こんな平凡な女ずったずたに傷つけるように振ればいいのに。

彼女がいない時期だったのがまずかったのかも知れない。


「あーもうやだ」

「元気出せよ、今から裸で校内駆け回ったらさすがに振られるだろうし」


さすがに今度は我慢せずに昭平の頭を殴った。

誰がするか。
そんなのするくらいならいっそ死んだ方がマシだ。

死なないために告白して振られているのにその為に死ぬ方がマシなことをするわけがない。

っていうかお前はもうちょっと私に気を遣え。