『――はい』
3コール目で相手側は出た。思った通り虎太の声。
「注文。ウーロン4つとアイスコーヒー2つ、アイスティーとオレンジジュース1つずつ」
『綾香……あのさ』
「ドリンクはあんた以外の店員が持ってきて。これ命令」
一方的に受話器を切って、虎太の話も聞こうともしなかった。
椅子に腰かけると、目の前に座っている大和くんがクスクスと笑っている。
「喧嘩中? 綾香ちゃんのほうが強いんだね」
聞かれてた。別にぶりっこするつもりもないし構わないけど。
「普段は彼氏のほうが強いんだよ。ひっぱってくれるタイプで……今は逆転してるけど」
そんな話をしていると、ドアがノックされて命令通り虎太以外の男の店員がドリンクを持ってきた。


