「お前には刺されたくないな。退け、死にたくなかったらな」 「この状況でお前に勝ち目があると思ってるのかよ?」 虎太の言う通り。あたしと虎太が刃物を持っているのに対して、大和くんの両手は空だ。 「礼を言うよ。壁に叩きつけられて目が覚めた。丸腰でも充分殺れる」 「はったりだろ」 何だろう。この違和感。何かひっかかる。 大和くんはどうして唯一武器になるナイフを真奈美に与えたのか。あのスポーツバックの中には針金とナイフと……