「大和が起きる前にここから離れたほうがいい! 携帯がなくても走って逃げればいいじゃねーか」


「でも外は真っ暗だし嵐だよ。携帯で助けを呼ぶのが確実だと思う」


「……それなら大和が目覚める前に今のうちに縛ろう。少しは安心できる。あ、手錠は地下に置いてきたな。何か紐みたいなものはあるか?」


「大和くんの部屋に針金があった。ちょうどいい。急ごう!」



あたしの言葉に虎太と真奈美は無言で頷いた。本当は虎太の言う通り、早くこの別荘から出たい。少しでも遠くに逃げたい。


だけどこの雷雨の中、土地勘もない場所を逃げ回るのも怖い。