「普通は嫌だろ。心配だろ……て、浮気した俺が言えることじゃねーけど」 虎太の不満そうな声はあたしをイライラさせるだけだった。 「やきもちを妬いてほしいってこと?」 「そう……なるかな……」 人間の感情って本当にバカみたい。 「――やきもちは好きな人にしか妬けないからじゃない?」 風が吹いて、あたしの髪が肩の上で揺れる。極上の笑顔で虎太を見上げる。 傷ついた表情になる虎太を見ても、罪悪感なんて起きなかった。 もっともっと 傷つきなさいよ あたしはあんたの何千倍も傷ついたんだから……