「真奈美、しっかりして! 泣くのは逃げ切ってからだよ!」



あたしは両肩を掴んで強い口調で言い聞かせた。真奈美は涙を拭きながら何度も頷いた。


虎太は率先して先頭に立ち、階段をかけ上がり、地下からついに脱出できた。



「ここ真奈美の叔父さんの別荘なんでしょ? 一番近い人家はここからどれくらい?」


「歩いては無理だよ。車で一時間以上は下らないと……携帯はないの?」



――携帯。あたしの携帯は大和くんが持っている。きっと虎太と真奈美のも。



「……大和くんの部屋にあるかも」