「――この部屋で、何してたの?」
聞かれないはずがない言葉。あたしはゴクリと生唾を飲み込んだ。
「い、一緒に寝るって言ったから……隣の部屋も見てみたかったの。でもやっぱり左側の部屋のつくりが好きかな。勝手に入ってごめんね」
「俺のほうこそごめん。全部の部屋を案内すればよかったね。綾香ちゃんの部屋が一番眺めがいいよ。あいにくの天気だけど」
人間、極限状態に陥ったら案外冷静になれるもので
頭の悪いあたしがよくとっさにこんな言い訳が思いついたと自分を誉めてあげたいと思った。
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