あたしは大和くんから離れようとしたけど、ガッチリと抱き締められた腕から逃げることはできなかった。



「待って……意味がよく分かんない」


「震えてる。寒い?」



違う


寒いんじゃなくて、怖い――。



「綾香ちゃんは優しいからきっと同情して胸を痛めると思ったから車の中では眠ってもらったんだ」



は?……眠ってもらったって……



「もしかして……睡眠薬?」


「うん。あの車には俺達以外にも二人、乗っていたんだよ」



ずっと違和感を感じていたことがひとつずつ、パズルのピースのように型にパチパチとはまっていく。