「とりあえず、携帯見せて」 虎太はあたしにためらいながら携帯を手渡してきた。虎太の携帯の中を見るのは初めてだ。 「メールは削除してんの?」 「してねーよ」 「送信アドレス履歴にはきっちり昨日の日付で真奈美に送ってるのが残ってますけど?」 「……お前、探偵みたいだな」 「お前がバカなだけだよ! 漫画も巻数を逆に並べてるし、削除するなら履歴まで消せよ」 詰めが甘いというか、男はバカな生き物だ。いや、虎太がバカなだけだ。