温かかった。 背中に、歩の鼓動を感じた。 ほっとした。 ほっとしたら、胸の奥につかえていたものが溢れ出てきて、わたしは思わず歩の腕をぎゅっとつかんだ。 涙が溢れて、止まらなかった。 ぽたり、ぽたりと、歩の腕にわたしの涙が落ちた。 歩は何も言わず、ただわたしを包んでくれていた。