「あっ、ごめん、ちょっと待って」 先輩の声と同時に、着うたが流れ出す。 バイブも一緒なのか、アヤ先輩の手にある携帯は音を鳴らしながら振動していて。 少しだけ歩くペースを遅くする。 「もしもーし、うん、今帰り。そっちは?」 笑いながら話し始めたアヤ先輩を見て、視線を前へ向けた。 もうすぐ駅。 改札をくぐればアヤ先輩と私は別のホーム。 ここで頭を下げて先に行こう。 そう思ってアヤ先輩へ視線を戻した時…… 「あっ、タエってさ、明後日の昼だっけ?帰ってくるの」