「まぁさぁ、タエもシュウもやっと踏み出せて、親友としてはホッとしてるんだ」


「踏み出せた?」


「うん。タエも向こうで彼氏が出来たみたいだし?シュウも……っと」


「シュウさんも?」



私の問いかけに、何でもないと両手をオーバーに振ったアヤ先輩は、ちょいちょいと指先だけを私に向けて動かしていて。


椅子ごとアヤ先輩の傍へ近づく。


先輩は顔を耳元へ近づけてきた。



「あのさ。シュウには私がタエの事話したの内緒にしておいてくれる?」


「えっ、あ、はい」



『黙ってて』


『内緒』



違う2人が違う場所で同じような言葉を伝えて来る。


昨日の今日で、余計に心臓がバクンと跳ね上がる。